ヘルメット治療って何?費用や必要性、治療の流れを紹介
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために実施される治療のことです。
生後2〜6ヶ月の間は、頭の形成がまだ柔らかい時期であり、ヘルメット治療を開始する理想的な時期とされています。
「我が子の頭のかたちは正常だろうか?」や「手遅れになる前になにかしたい…」と不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、
ヘルメット治療とは
ヘルメット矯正療法の実施方法は?
初回診察からヘルメット治療までのプロセス
など、赤ちゃんのヘルメット治療に関する疑問に対する解説を行います。
ヘルメット治療とは?
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭のゆがみを自然なかたちに成長させていく治療です。
・適した開始時期:生後2〜6ヶ月
・治療期間:6ヶ月〜1年
・費用:約40万円〜
赤ちゃんの頭の骨は非常に柔らかいため、日常の些細なことでも簡単にゆがんでしまいます。
このようなゆがみを解消するために、頭蓋形状矯正ヘルメットを着用し、頭蓋骨を自然な形に成長させる治療が「ヘルメット治療」です。
ヘルメット治療はどんな場合に行う?
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は、大きく分けて「病気に起因するもの」と、「寝癖や向き癖などの外部からの圧力によるもの」があります。
ヘルメット治療は、主に外部からの圧力が原因で起きた中程度以上のゆがみに対して行われます。
外部からの圧力が原因で発生する頭のゆがみは、変形の仕方によって異なる呼び名があり、主に以下の種類があります。
1. 斜頭症
頭のかたちが左右非対称で、頭部の一部が平坦になっている状態を指します。赤ちゃんの頭を上から見たときに、頭部の片側が傾いていることが特徴です。
2. 長頭症
頭の前後幅が横幅に対して異常に長くなっている状態を指します。頭を上や横から見ると、はっきりと長くなっていることが分かります。
3. 短頭症
頭の横幅が長く、後頭部が丸みを帯びずに平らになっている状態を指します。この頭の形状は、日本人によく見られ、時には「絶壁」と形容されることもあります。
何でヘルメット治療で頭のゆがみが治るの?
赤ちゃんの頭の骨は、脳の発育に合わせて成長・拡大できるように、非常に柔らかく、生後7ヶ月頃までは外部からの圧力、向き癖などで容易に変形してしまいます。
ヘルメット治療は、ヘルメットの着用により柔らかい頭を保護し、既に変形して平らになってしまった箇所の成長を促進し、自然な頭の形状に近づけるメカニズムです。
手術や無理な矯正は行わず、赤ちゃんの自然な骨の発達をサポートし、あらかじめ美しい頭の形状の基盤を作り、その枠組みに合わせて成長を促進するイメージです。
1歳頃には骨の成長が安定し、頭の形状がほぼ確定するため、早期から治療を始めることで効果がより得られやすくなります。
ヘルメット治療はどうやるの?
ヘルメット治療開始当初はヘルメットの着用を数時間から始め、徐々に時間を延ばしていくようにして慣らしていきます。最終的には、お風呂の時間以外、寝ているときも含めて1日23時間着用することが目標とされています。
ヘルメットをかぶり始めてからは、2〜6週ごとにヘルメットを調整し、経過を観察していき、約6ヶ月後に治療が終了します。
初めての経験では、赤ちゃんがヘルメットを嫌がって外そうとすることがありますが、赤ちゃんは環境に素早く慣れる傾向があるため、それほど心配する必要はありません。
ヘルメット治療を行う際には、ヘルメットによる汗が原因で肌が赤くなるなど、肌トラブルが生じることがあります。もし肌に問題が生じた場合は、早めに医師に相談してください。
ヘルメット治療の流れ、開始から卒業まで
ヘルメット治療の開始から卒業までの流れを紹介します。
STEP1: 受診の準備をする
まず、赤ちゃんの頭のゆがみを診察できる医療機関を見つけましょう。
予約や紹介状が必要な場合もあるため、事前に確認が必要です。初診の費用や内容についても確認し、ヘルメット治療開始の適齢期である生後2〜6ヶ月の間に予約を取るよう心掛けましょう。
STEP2: 頭のゆがみを診察してもらう
医療機関を受診し、頭のゆがみの原因や程度を診てもらいましょう。問診、触診・視診、レントゲン、CT検査などを通じて、ゆがみの原因や程度を診断します。治療が必要かどうかの結果が出れば、保護者の同意が得られた場合、次のSTEP3へ進みます。
STEP3: 専用のヘルメットを作る
赤ちゃんの頭のスキャンデータを取得し、それを基に一人ひとりの頭のかたちに合わせたヘルメットを作成します。初診でデータを取ることもあります。
STEP4: ヘルメットを受け取って着用開始
ヘルメットが完成するまでに約2週間かかります。テスト装着で問題がなければ、治療が始まります。治療開始後は2〜6週ごとにヘルメットの調整と経過を確認しながら、治療終了時期について検討します。
治療終了時期は、頭蓋骨の繋ぎ目である「大泉門」の閉じ具合や頭蓋骨の硬さなどで判断されます。個人差はありますが、ヘルメット治療の期間は通常約6ヶ月程度となります。
ヘルメット治療をしなくてもいい
医療機関を受診した結果、ゆがみの程度が軽度であった場合や、生後3ヶ月未満で早期に受診した場合などでは、体位変換の指導のみで改善することもあります。
また、ヘルメット治療の対象となるゆがみがあった場合でも、必ずしもヘルメット治療が必要とは限りません。最終的な判断は、保護者の皆さまに委ねられます。
不安や気になることがあれば、医師からアドバイスを受けながら、家族でじっくりと相談し、最適な決断をしていただくことが大切です。
【Q&A】ヘルメット治療についてよくある疑問・質問
最後に、ヘルメット治療に関するよくある質問について回答していきます。
Q: ヘルメット治療はどのくらいの期間続けるの?
A: 個人差がありますが、通常は約6ヶ月程度が目安です。終了時期は大泉門の閉じ具合や頭蓋骨の硬さによって異なるため、診断の際に装着期間について医師と相談しましょう。
Q: ヘルメット治療は大きくなってからでもできるの?
A: 赤ちゃんの頭が成長する時期に行う治療ですので、頭蓋骨が成長してしまってからでは行えません。適正時期は生後2〜6ヶ月であり、頭が柔らかいうちに治療を開始すると効果が得られやすいとされています。
Q: ヘルメット治療の費用は?
A: ヘルメット治療の総額は約40〜60万円(税込)程度です。メーカーや医療機関によって費用は異なります。
Q: ヘルメット治療後に再び変形することはない?
A: ヘルメット治療の終了時期を医師が判断し、再び変形することを防ぐようにします。
Q: ヘルメットで赤ちゃんの頭はかぶれない?
A: 赤ちゃんの肌が敏感なため、ヘルメットが原因であせもやかぶれが出ることがあります。適切なケアを行い、肌トラブルが起きた場合は早めに医師に相談しましょう。
Q: ヘルメット治療をしていても保育園には通える?
A: ヘルメット治療をしながら保育園に通うことは可能ですが、治療やヘルメットの取り扱い方法について保育園に説明し、理解を得た上での通園となります。
まとめ|赤ちゃんの頭のかたちが気になったら、まずはお気軽に相談を
今回は「ヘルメット治療」についてご紹介しました。
「赤ちゃんの頭は左右非対称なのが当たり前」
「放っておいても治ります」
と言われても、少しでも不安を感じた場合は、頭のゆがみを診てくれる医療機関に相談してみましょう。
ゆがみの原因や程度を医師に診てもらうことで、不安が解消されるかもしれません。お気軽にご相談いただくことをお勧めします。