赤ちゃんの頭のかたちは遺伝?頭蓋変形にリスクはある?原因や対策について
赤ちゃんの頭のゆがみの原因には、遺伝が関与する場合とそうでない場合があります。
赤ちゃんの頭がゆがむ原因は、単純に遺伝によるものとは限らず、通常は「向き癖」など外部からの圧力が加わることによって生じるとされています。
また、産前産後に外部から加わる圧力によっても頭がゆがむことがあります。
したがって、本記事では遺伝を含む赤ちゃんの頭のゆがみの原因について詳しく紹介します。
頭のゆがみの原因て?
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は、遺伝が関与する場合とそうでない場合があります。
遺伝によるゆがみの場合
遺伝子異常によって引き起こる病気の症状として、頭蓋骨異常が発生し、頭のゆがみが生じることがあります。
具体的な症例として、アペール症候群やクルーゾン症候群などが挙げられます。これらの症候群において、頭蓋縫合早期癒合症が現れると、頭蓋骨の変形が生じます。
このような場合、脳の発達に悪影響を及ぼすリスクがあるため、早期の診断と治療が必要です。
頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)
新生児の頭蓋骨は、生後1歳半頃まで複数の部分に分かれ、脳の表面に隙間を作りながら配置されています。
脳は2年間で急速に成長しますが、それに伴って頭蓋骨も成長・拡大し、1歳半〜2歳までには部分ごとの隙間が徐々に骨化し、結合していきます。
しかしこの骨同士の隙間が何らかの原因で部分的に早く骨化することが「頭蓋縫合早期癒合症」であり、早期の癒合によって成長できない骨の周囲が変形し、結果的に頭蓋骨全体がゆがむことがあります。
水頭症(すいとうしょう)
水頭症は、頭部に蓄積した髄液の循環や吸収に異常が生じ、頭が異常に大きくなる病気です。先天性の水頭症には、遺伝的な影響が見られるものもあります。
頭蓋骨縫合早期癒合症や水頭症ともに、早期の診断と治療が不可欠です。
遺伝が関係しないゆがみの場合
遺伝が関係しない場合、すなわち特定の先天性疾患がない場合は、胎内から出産後の寝かせ方まで、赤ちゃんの頭がゆがむ原因は様々です。
赤ちゃんの頭は、産道を通り抜けやすくするために柔軟になっており、そのため圧力によって変形しやすい状態にあります。大人にとっては微小な圧力でも、赤ちゃんの頭は変形することがあります。
出産前
初産の場合、母体の子宮が広がりにくく、赤ちゃんのスペースが狭くなる可能性がある。
多胎妊娠の場合、単胎妊娠と比べて赤ちゃん一人当たりのスペースが狭くなる。
逆子の場合、通常は赤ちゃんの頭が母体の骨盤に入ることで外部の圧力から守られるが、逆子の場合はその保護がないため、外部の圧力の影響を直接受けやすい。
出産時
難産の場合、産道に長時間頭が挟まれることでゆがみが生じる。
吸引分娩の場合、吸引カップを頭に装着し、吸引圧をかけて頭を引っ張ると、頭が伸びることがある。
早産の場合、正常な週数よりもさらに頭蓋骨が柔らかい状態で産まれる。
ただし、妊娠中の状況や出産方法が頭のゆがみに直結するかは明確ではありません。「自分のせいで」と妊娠中の過ごし方や出産方法を責める必要は全くありませんので、安心してください。
出産後の「向き癖」
「向き癖」とは、寝ているときや抱っこしているときに、頭が常に同じ方向を向く状態を指す。
特に睡眠中に頭のポジションが固定されることで、癖がつきやすい。
後頭部の同じ面が長時間下になることで、頭蓋骨に脳の重みが圧力をかけ、頭のかたちがゆがむ可能性がある。
頭のかたちのゆがみを放っておいた場合どうなる?
頭のかたちがゆがんだまま成長すると、見た目の悩みだけでなく、髪型やファッションにも悩むことがあり、お子さま本人にとって悩みの種になる可能性があります。
また、眼鏡やヘルメットなど、生活に必要なアイテムの適切な装着が難しく、これによって困っている声も聞かれます。
以前は成長発達遅延や運動機能障害の原因とされなかったものの、最近では海外で神経・運動の発達に遅れを伴うという報告が増え、発達遅延との関連性が注目を集めています。
頭のかたちが気になったら医療機関に相談しよう
ここまでの内容からわかる通り、遺伝による頭のかたちのゆがみは稀であり、病気が確認されていない場合、その原因は様々です。頭のかたちのゆがみに関する情報を自分で調べたり身近な人に尋ねた際、「遺伝だから仕方がない」「治す方法はない」と言われた方もいらっしゃるかもしれませんが、頭のゆがみは大切なお子さまの将来に影響を与える可能性があるため、専門知識や信頼性のあるデータに基づいた判断が必要です。
赤ちゃんの頭のかたちが気になる場合は、疑問や不安を抱えたまま放置せず、迷わず医療機関に相談することをお勧めします。
まとめ|赤ちゃんの頭のかたちは遺伝が原因と放置しすぎないように
我が子の頭のかたちのゆがみに気づいた際、遺伝が原因と申し訳なさを感じ、また、遺伝ならば手立てがないと諦めてしまうことがあるでしょう。単に遺伝だから仕方がないと考え、問題を放置している可能性もあります。
しかしながら、頭のかたちのゆがみの原因は様々、遺伝によるものではなく外部圧力や向き癖が関与する場合がほとんどです。赤ちゃんの頭が柔らかい時期に的確な対処を行うことで、様々なリスクを軽減することができるかもしれません。
我が子の頭のゆがみに気づいたら、遺伝だからという先入観に振り回されず、早期に医療機関へ相談することをお勧めします。